今から90年以上前の1924(大正13)年に、船場ビルディング(国登録有形文化財)が建てられました。設計者は建築家村上徹一。施主は化粧品の老舗桃谷順天館の創業者、桃谷政次郎です。
外観はネオ・ゴシックを基調とするアール・デコ調で、竣工当時の装飾が一部喪われていることもあり大正時代のものとしては極めてあっさりしていますが、内部は打って変わって豊饒で、スペイン風の回廊をめぐらしたパティオ(中庭)があり、異世界に迷い込んだような錯覚を起こすほど現実離れした素敵な空間となっています。当初はアパートとオフィスを兼ね、非常にユニークかつハイカラなビルヂングだと、浪速っ子の話題になったそうです。また美しいだけでなく機能性をも重視しており、荷馬車などをそのまま引き込めるよう、玄関を入るとエントランスの緩やかなスロープからパティオにかけて、全て木煉瓦舗装となっています。当時はまだまだ珍しかったエレベーターも完備、憧れのビルヂングだったのです。今は住むことはできないのですが、当時の生活がどんなものだったのか、興味が尽きません。
現在も一階のテナントはそれぞれの玄関前に自転車を置いていて、ビルの中でありながら欧州の路地のような雰囲気が漂います。晴れた日は青空が見え、雨の日はそのまま雨が降る、緑豊かな心地よい中庭です。
その314号室が、サロン・ドゥ・螺です。スペイン風の回廊は、二階、三階、四階と各階全て表情もディティールも異なりますが、サロンはその三階西側に位置します。
内装は世界的に活躍する著名な左官職人である久住有生氏(左官株式会社ウェブサイトへリンク)が施工した、ガウディのカサ・バトリョを彷彿とさせる摩訶不思議な空間です。
そこが我々のサロンなのです。我々はこのサロンを拠点に、様々なアート&カルチャーを発信していきたいと切望しています。ご興味がおありの方は、お気軽にお問い合わせ下さい。